抹茶?
鹿児島県・知覧産の単一品種、あさつゆ。
天然玉露とも称される稀少な煎茶用品種を、
被覆栽培と深蒸し製法で仕上げました。
鹿児島県・薩摩半島の南端、知覧。日本の茶産地のなかでも、最も南に位置する土地のひとつです。
火山灰土壌、温暖な気候、そして本州よりも早い摘採時期。北方の産地では出せない、独特の濃厚さと深みが、知覧茶の個性をつくります。茶畑の向こうには「薩摩富士」と呼ばれる開聞岳が、南の海から静かに立ち上がっています。
あさつゆは品種そのものが旨みに恵まれており、多くの場合、被覆をかけずに育てられます。
当社の知覧産あさつゆでは、収穫前のひと時、茶畑に遮光ネットをかぶせます。被覆栽培は光合成をゆるやかに抑え、茶葉の中でテアニンの蓄積を促します。渋みのもとであるカテキンの生成を抑え、旨みと甘みをさらに引き出すための、最後のひと手間です。
「あさつゆ」は、日本でもっとも稀少な煎茶用品種のひとつ。全国の茶生産量のわずか1%以下にすぎません。
テアニンを多く含み、カテキンが少ない品種特性から、被覆をかけずに育てても、玉露を思わせる柔らかな甘みと穀物のような風味をたたえます。そのため、古くから茶業者のあいだで「天然玉露」と呼ばれてきました。
収穫量が安定しにくく、栽培の難易度が高いため、大規模に作付けされることは稀です。鹿児島・知覧の限られた茶畑でのみ、その個性が引き出されます。
通常の煎茶が30秒から40秒蒸されるのに対し、深蒸し煎茶はその2倍から3倍の時間をかけて蒸します。深蒸しは、摘採された茶葉のすぐ近く、鹿児島の地で行われます。
長い蒸し時間は渋みの角を丸め、旨み、厚み、清澄さだけを残します。茶葉はより細かく、水色はより濃く、味わいはより滑らかに。鹿児島茶を代表する南国的な仕上げ方です。
鹿児島で蒸された荒茶は、静岡・焼津の長峰製茶に届き、最後の火入れ(仕上げ)を経て、あさつゆとして完成します。
本年(2026年)、煎茶として流通する「あさつゆ」が、大きく減少しています。
昨年までは深蒸し煎茶として加工されていた茶葉が、今年は碾茶やモガ茶(煎茶ラインで製造される模造碾茶)への仕向け先転換が進み、煎茶用の流通量が落ち込みました。世界的な抹茶需要の高まりが、煎茶の世界にも静かに影を落としています。
旨みが強く、被覆をしなくても深い味わいが出るあさつゆは、抹茶原料に転用しても一定の品質が見込める。本来の煎茶用途から流出する流れが、加速しています。
長峰製茶では、品質を落とした代替仕入れは行わず、例年通りの基準で知覧産あさつゆを深蒸し煎茶として仕上げる方針です。市場価格の上昇分は卸価格・小売価格に反映させていただきますが、品質を妥協することはいたしません。
碾茶ではなく、煎茶として。粉に挽いて泡立てるのではなく、湯を注いで抽出する。同じあさつゆの茶葉に、長峰製茶はいまも煎茶という選択を続けています。
翡翠色の水色、絹のような舌触り、際立つ旨み — これらは、深蒸し煎茶として淹れたときに最もよく顕れる、あさつゆ本来の姿です。粉茶では拡散してしまうこの繊細な輪郭を、急須のなかでこそ受けとめたい。
明治9年(1876年)の創業以来、150年にわたり、長峰製茶は全国の銘茶を目利きしてきました。あさつゆを煎茶として届け続けることは、当社にとって、ひとつの選択であり、矜持です。
知覧産あさつゆは、煎茶としてお届けするほか、粉末緑茶としてもご提供しています。
これは抹茶ではありません。抹茶は伝統的に、被覆栽培した茶葉を碾茶炉で蒸し、揉まずに乾燥させ、石臼で挽いてつくられます。一方、当社の粉末緑茶は、煎茶として仕上げたあさつゆを微粉砕したものです。製法も、用語も、抹茶とは明確に区別しています。
粉末にすることで、茶葉まるごとを摂取できるようになります。湯に溶いてそのまま飲むほか、和洋菓子・パン・料理・スムージーの素材として、また業務用には飲食店様の調理素材としてご利用いただけます。
碾茶やモガ茶(模造碾茶)に流すのではなく、煎茶として、そして粉末緑茶として。同じ知覧産あさつゆをめぐる、ふたつの誠実な選択です。
小売店様、茶商様、カフェ様、ホテル様、レストラン様の業務用仕入れに関するお問い合わせはこちらから。サンプル送付・卸価格・仕入れ枠のご案内をいたします。
業務用お問い合わせ →ご家庭でのご愛飲は、当社直営オンラインショップ nagamine.jp にて2026年産あさつゆを販売中です。深蒸し煎茶のほか、粉末緑茶もご用意しています。
nagamine.jpで購入 →明治9年(1876年)、静岡県焼津市にて創業。150年にわたり全国の銘茶を扱う茶問屋(茶商)です。海外B2B卸売、国内業務用卸売、直営オンラインショップ(nagamine.jp)を運営しています。
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